2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
爲重 才覚 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 葉の形態形成 / 葉緑体 |
Research Abstract |
本研究では主に二種類の解析<I.とII.>を行っており、さらにENF2が関与する向背軸の認識機構に関わる他の因子を明らかにするための解析<III.>も、並行して行った。 <I.>まず葉緑体遺伝子の発現が葉の向背軸認識に関わるか検証するため、葉緑体遺伝子の転写に関わる因子の変異体(sca3とflv)のについてFIL,PHBの発現パターンを調べた。その結果flvではenf2変異体とよく似たFIL,PHBの発現異常が見られたのに対し、sca3ではあまり大きな異常は見られなかった。またこのFILの発現異常は、葉緑体遺伝子の発現を阻害する薬剤を野生型植物に投与した場合にも見られたのに対し、色素合成の阻害剤や暗所生育によって葉緑体の発達を抑えた場合には見られなかった。これらの結果は葉緑体遺伝子の中でも一部の遺伝子の発現がFIL,PHBの発現パターンを制御していることを強く示唆している。 <II.>ENF2タンパク質の活性が葉の向軸側と背軸側で異なるのか検証するため、FRETセンサーコンストラクトを作製中である。現在までにENF2のcDNAと、それをCFP,YFPに連結するためのベクターを入手している。 <III.>葉緑体遺伝子の発現に応じて核コード遺伝子(光合成関連遺伝子)の発現が制御される、という現象にGUN1遺伝子が関わっている。gun1 enf2二重変異体を作製したところ、FILの発現異常が回復したことから、GUN1の関わるシグナル経路を介して葉緑体の遺伝子発現がFILの発現パターンを制御することを示唆している。
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