2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
爲重 才覚 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 葉 / 形態形成 / 葉緑体 |
Research Abstract |
本研究では主に二種類の解析<I.とII.>を行っており、さらにENF2が関与する向背軸の認識機構に関わる他の因子を明らかにするための解析<III.>も、並行して行った。 1、<I.>PEP系RNAポリメラーゼ制御下の葉緑体遺伝子がFIL,PHB発現パターン制御に重要であるか調べるためclb19,otp70変異体を解析した。FIL,PHBの発現パターンは未確認だが、これら変異体は形態上enf2変異体とは似ていなかった。これは、PEP系ポリメラーゼ異常の別の変異体flvがenf2と似ているという1年目の結果と矛盾し、葉緑体遺伝子の発現制御メカニズム自体の未知の側面がFIL,PHBの制御に関わると考えられた。一方、定量的RT-PCRでほとんど全ての葉緑体遺伝子がenf2変異体で発現低下することを見出し、ENF2が葉緑体遺伝子発現全般に関わることが示された。 2、<II.>ENF2のFRETセンサーコンストラクトは作製中である。また、2年目に引き続き、FIL,PHBの発現パターンが葉原基の中で本来ゆっくり変化してゆくこと、それがenf2変異体では極端に遅延していることを明らかにした。このことから「ENF2によってFIL,PHBの発現パターンが固定される」という研究開始時点での前提を棄却し、そもそもFIL,PHBの発現パターンが変化することを既知の知見だけで説明しうる数理モデルを構築した。さらにこのモデルから、ENF2活性が特異的空間分布を示さずともFIL,PHB発現パターン変化の速さを制御する可能性を示した。 3、<III.>gun5の変異ではenf2変異体の表現型を抑圧しないことがわかった。1年目のgun1の結果と合わせて、葉緑体遺伝子発現の変化が、GUN1依存的なレトログレードシグナルのみを介してFIL,PHBの発現パターンを制御していることが示された。
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