2009 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質活性に係わる分子間相互作用の固体NMRによる研究-βアミロイドを一例として
Project/Area Number |
09J01128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 裕一 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | βアミロイド / クルクミン / 固体NMR / オリゴマー / β-シート / 立体構造解析 / 凝集 / アルツハイマー病 |
Research Abstract |
1.アルツハイマー病は、42残基のβアミロイド(Aβ42)が脳内で凝集することにより引き起こされる。ウコンに含まれる黄色色素であるクルクミンは、Aβ42凝集体の脱会合を促進することが報告されている。本研究では、クルクミンのAβ42凝集体への作用機構を解明する目的で、^<13>Cでそれぞれ標識したクルクミンとAβ42凝集体の混合物を調製し、分子間の双極子-双極子相互作用を固体NMRにより解析した。その結果、クルクミンがAβ42凝集体のN末端のランダムコイルよりもLeu-17~Ala-21のβ-シートと相互作用しやすいことが示唆された。さらに、クルクミンのメトキシ基及びヒドロキシル基が、Aβ42凝集体との相互作用に深く関わっていることが示唆された。本研究は、凝集体と低分子の相互作用を固体NMRにより解析した初めてのものである。 2.Aβ42の凝集中間体であるオリゴマーは神経細胞毒性が非常に高いことから、Aβ42の毒性本体であると考えられている。しかしながら、Aβ42オリゴマーは、モノマーやフィブリルと平衡状態で存在しているため、安定かつ大量に調製することが困難であった。本研究代表者らは、Aβ42を酢酸アンモニウム溶液中において37℃で5時間インキュベーションし、生成したオリゴマーをゲル濾過により分取、凍結乾燥することにより、オリゴマー構造を維持した粉末試料を調製することに成功した。一次元固体NMRスペクトルにおける^<13>Cシグナルのピーク幅と化学シフトを解析した結果、オリゴマーはフィブリルに比べて構造のばらつきが大きく、β-シート構造を取っている分子数が少ないことが示唆された。
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