2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J01157
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 紀之 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 種間競争 / 繁殖干渉 / 生態的形質置換 / 生態学 / 寄主特殊化 |
Research Abstract |
系統的に近縁な種がどのような要因ですみわけをし、その結果どのように形質の多様化が起こったかを調べることは、進化生態学における中心的な課題である。本年度、研究代表者は捕食性テントウムシ2種、ナミテントウとクリサキテントウを用いてこの課題に取り組んだ。両種は系統的に近縁であるにもかかわらず、ナミテントウが多種のアブラムシを利用するジェネラリストであるのに対し、クリサキテントウは松に寄生するアブラムシだけを食べるスペシャリストである。本年度の一連の実験から、(1)松のアブラムシは足がはやくてテントウムシの幼虫にとっては捕まえにくいエサであること、(2)クリサキテントウでは孵化幼虫の体サイズを大きくし、捕食行動に用いる形態を特化させることで松のアブラムシの利用に適応していること、(3)クリサキテントウは野外では一切利用していない他のアブラムシも実験的に与えれば利用できることが明らかになった。なぜクリサキテントウは、潜在的には多種のアブラムシを食べられるはずなのに、野外では捕まえにくい松のアブラムシにわざわざ特殊化しているのだろうか。研究代表者は、ナミテントウとの負の種間相互作用により、クリサキテントウの食性が決まっているのではないかと考えている。種間相互作用は、(1)幼虫期に生じるエサをめぐる競争(資源競争)と、(2)成虫の配偶行動の際に生じる干渉(繁殖干渉)の2つに分けられる。今後は、どちらの種間相互作用が両種のすみわけにとって重要であるかを実験的に評価する予定である。
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Research Products
(5 results)