2009 Fiscal Year Annual Research Report
疾患関連分子・周囲レドックス環境の可視化に向けた新規造影剤の開発と応用
Project/Area Number |
09J01199
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 俊栄 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニトロキシルラジカル / レドックス / ESR / フリーラジカル / 造影剤 |
Research Abstract |
疾患関連分子・周囲レドックス環境の可視化に向けた新規造影剤の開発と応用のため、本年度は、反応特異性含フッ素ニトロキシルラジカルの合成を目的とした。これまでに開発した合成法を用いて、ピペリジン系ニトロキシルラジカルの2,6位に種々の鎖状・環状置換基を導入した。これら合成したニトロキシルラジカルについて、生体内レドックス状態検出プローブとしての反応性評価を行った。そのなかで、環状置換基上にヘテロ原子を有する化合物がアスコルビン酸に対して高反応性を示した。一方で、アルキル基を置換したニトロキシルラジカルは、アスコルビン酸による還元に対し抵抗性を示し、ニトロキシルラジカル周辺の置換基によって反応性を変えられることを明らかにした。さらに、ニトロキシルラジカルとアスコルビン酸の反応性に対する置換基効果を検討するため、サイクリックボルタンメトリー法による電気化学的手法を用いて精査した。その結果、2,6位の置換基によって酸化還元電位が大きく異なり、アスコルビン酸との酸化還元電位との差によって、反応性の程度が異なることを明らかにした。一方、本合成法を用いて、ピペリジン環の2,6位へのフッ素置換基導入を試みたが、フッ素原子の高い電気陰性度によるものと考えられる脱離反応が進行せず、目的化合物を得るには至らなかった。そこで、過去の報告を参考に5員環のピロリジン系ニトロキシルラジカルの2,5位にフッ素置換基を導入した。また、既存のピペリジン系ニトロキシルラジカルの4位にフッ素置換基を導入した化合物を予備実験で合成し、来年度は、アスコルビン酸に対する反応特異性を示した化合物にフッ素置換基を、さらには、特定分子認識骨格を結合し、疾患関連分子・周囲レドックス状態の解析に向けたプローブ剤の最適化検討を行う。
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