2010 Fiscal Year Annual Research Report
疾患関連分子・周囲レドックス環境の可視化に向けた新規造影剤の開発と応用
Project/Area Number |
09J01199
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 俊栄 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニトロキシド / レドックス / ESR / フリーラジカル / 造影剤 |
Research Abstract |
疾患関連分子・周囲レドックス環境の可視化に向けた新規造影剤の開発と応用のため、本年度は、特異的分子認識骨格の結合と評価を目的とし研究を遂行した。標的認識骨格として、アルツハイマー病の病因と考えられているアミロイドβを標的としたベンゾチアゾール骨格の導入を試みた。これまで開発してきた合成法を用い、ニトロキシドのレドックス特性の反応点であるN-Oラジカル近傍に認識骨格を導入することに成功した。また、N-Oラジカルの遠位に同一のベンゾチアゾール骨格を導入したものと比較検討を行った。その結果、この導入部位の違いにより、アミロイドβと結合した際のESRスペクトル変化が異なり、結合様式が異なることが示唆された。さらに、ニトロキシドによるアミロイドβ凝集に対する効果においても、認識骨格導入部位の違いにより、凝集促進あるいは抑制と作用が異なるという新たな知見が得られた。 一方、ニトロキシドの電子スピンとフッ素核スピンを利用した結合能評価に向けて、ニトロキシドのN-Oラジカル近傍へのフッ素原子導入を試みた。本年度は、既知化合物と合わせて、N-Oラジカルのβ位やγ位、あるいはさらに離れた位置にフッ素原子を導入したニトロキシドプローブの合成を行った。その結果、β位にフッ素原子を導入したニトロキシドのESRスペクトルではフッ素原子核による超微細結合が観測された。今後、N-Oラジカルのβ位にフッ素原子を有するニトロキシドに、認識骨格導入を進め、核スピン相互作用によるESRスペクトル変化を利用した結合能・認識能の評価を目指す予定である。
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