2009 Fiscal Year Annual Research Report
イソプレニルトリプトファン残基を含むペプチドに関する化学的研究
Project/Area Number |
09J01228
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辻 史忠 Nagoya University, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ComXフェロモン / イソプレニル化 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
トリプトファン残基のイソプレニル化は、現在までのところ枯草菌のComXフェロモンにおいてのみ確認されている翻訳後修飾であり、生物界における普遍性は未だ明らかにされていない。そこで本研究は、この翻訳後修飾の生物界における分布の検証を目的とする。 具体的にはin vitro酵素反応系を用いることで修飾酵素ComQの認識するコンセンサス配列の推定を試みている。in vitro酵素反応とは、枯草菌RO-E-2株由来の修飾酵素ComQ_<RO-E-2>にComX_<RO-E-2>フェロモン前駆体およびゲラニルピロリン酸を加え、インキュベートすることでComX_<RO-E-2>フェロモン前駆体にゲラニル基を転移させる反応である。これまでの研究では、前駆体の全長である58残基からなる[1-58]ComX_<RO-E-2>フェロモン前駆体を用いて酵素反応を行い、C末端側の7残基がゲラニル化されたペプチドをMALDI-TOF-MSで検出することに成功していた。 そこで前年度は前駆体のN末端側のアミノ酸を削除した短鎖前駆体を複数合成し、それらを用いた酵素反応を行うことによりゲラニル修飾される最短配列の確定を試みた。その結果、C末端から9残基の[50-58]ComX_<RO-E-2>フェロモン前駆体を用いて酵素反応を行ったときにもゲラニル修飾されたペプチドを検出することができた。この結果よりComX_<RO-E-2>フェロモンのC末端から9残基の配列中にコンセンサス配列が存在していることが示唆された。 また、これまでゲラニル修飾されたペプチドをLC-MSにより検出する方法を確立した。この方法では有機合成により得られたゲラニル修飾されたペプチドを標品に用いているため、検出に加え定量が可能である。 今後は、MALDI-TOF-MSとLC-MSの検出・定量法を利用してコンセンサス配列を確定する予定である。確定したコンセンサス配列はこの翻訳後修飾の生物界の分布を知るうえで大きな足掛かりとなってくれるはずである。
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