2009 Fiscal Year Annual Research Report
化学情報学における諸問題の解決を目的とした新規多変量データ解析手法の開発
Project/Area Number |
09J01337
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 弘昌 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 化学工学 / 機械学習 / 統計数学 / ソフトセンサー / 物性推算 / プラント管理 / ファウリング / 適用範囲 |
Research Abstract |
化学プラントにおいては、測定困難なプロセス変数を推定する手法として、ソフトセンサーが広く用いられている。ソフトセンサーとは、オンラインで測定可能な変数と測定困難な変数の間で数値モデルを構築し、目的とした変数yの値を推定する方法である。ポリマープラントにおいてもソフトセンサーによりポリマー物性が推定されているが、製品切り替え(トランジション)の際の物性推定は困難とされている。 そこで我々は、ポリマー物性を推定する前にトランジション終了を判定するモデルを構築することを提案した。そして、トランジション終了と判定した後に、対象となる銘柄データのみで構築された回帰モデルを用いて物性値を推定した。これにより、トランジション中のポリマー物性の推定精度が低下する問題を回避することができ、トランジション終了直後のポリマー物性を精度良く推定することが可能となった。 また、ソフトセンサーは化学プラントの運転状態の変化によって予測精度が劣化してしまうため、新しいデータを用いて回帰モデルを再構築する試みがなされている。ただ再構築に用いたデータとそれとは異なるプラント状態のデータとが、同じ予測誤差であると仮定され異常値検出に用いられている。そのため、yの分析計の故障が誤検出されてしまうことが多い。 そこで我々は、ソフトセンサーモデルの適用範囲と予測誤差の関係を定量的に求めることを提案した。モデル構築用データとの距離に応じて予測誤差を見積もることで、プラントの変動とyの分析計の故障を分離して考えることが可能となった。さらにこの手法を構造物性相関(QSPR)にも応用し、水溶解度予測モデルにおいて化学構造と予測誤差の関係を定量的に求めることに成功した。
|
Research Products
(10 results)