2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学情報学における諸問題の解決を目的とした新規多変量データ解析手法の開発
Project/Area Number |
09J01337
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 弘昌 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 化学工学 / 機械学習 / 統計数学 / ソフトセンサー / 物性推算 / プラント管理 / ファウリング / 適用範囲 |
Research Abstract |
化学プラントにおいては、測定困難なプロセス変数を推定する手法として、ソフトセンサーが広く用いられている。ソフトセンサーとは、オンラインで測定可能な変数と測定困難な変数の間で数値モデルを構築し、目的とした変数の値を推定する方法である。しかしソフトセンサーには、化学プラントの運転状態の変化によって予測精度が劣化してしまうという問題点がある。これまで、プロセス変数間の時間差分の間でモデルを構築することで、モデルを再構築せずに、プロセス変数の時間的に一定な変化がモデルへ与える影響を低減する取り組みを行ってきた。しかしこの時間差分モデルは、プロセス変数間の非線型性に対応できないことが確認されている。 そこで本研究では、その非線型性とプロセス変数の時間的に一定の変化を同時に考慮するため、あらかじめプロセス変数の非線型関係を抽出した後に、時間差分モデルを構築する手法を提案した。時間差分モデルを構築する前に、プロセス知識によって得られた物理モデルや非線型回帰分析手法によって構築された非線型モデルを用いることでプロセス変数間の非線型性が表現され、その後時間差分を用いることでドリフト等の一定の経時変化に対応できると考えられる。そして提案手法をポリマー重合プラントデータ解析に応用し、提案手法を用いることで、従来と比較して予測精度が向上すること、そして従来見られた予測誤差のバイアスが低減することを確認した。 さらに、時間差分モデルの精度向上とその予測誤差の推定を目的として、時間差分モデルによるアンサンブル予測を提案した。 複数の差分間隔で計算された予測値の加重平均が最終的な予測値であり、それらの標準偏差が予測誤差の指標である。蒸留塔を対象としたケーススタディを通して、従来と比較して複数の時間差分の予測値を考慮することで予測精度が向上し、それらの予測値の標準偏差が予測性の指標となることを確認した。
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Research Products
(14 results)