2009 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスによるオートファジー誘導とclass II MHCへの抗原提示機構の解析
Project/Area Number |
09J01368
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有木 宏美 (高木 宏美) Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | オートファジー / ポリオウイルス / 二本鎖RNA / RIG-I / IPS-1 |
Research Abstract |
本研究計画はウイルス感染により引き起こされる自然免疫機構のうち、ウイルス感染に対する生体防御機構に焦点を絞り、特にオートファジーによるウイルス認識機構とそれに続いておこるclass II MHCへのウイルス抗原提示機構の解明を目的として行っている。ポリオウイルス感染時にオートファジーが誘導されるかについて、HeLa, 293,ポリオウイルスレセプター(PVR)トランスジェニックマウス胎児由来線維芽細胞(PVR-Tg MEF)を用いて検討を行ったところ、いずれの細胞においても感染3時間後からオートファジーのマーカーであるLC3 punctaが形成された。このオートファジー誘導はUV処理したウイルスやウイルス複製阻害剤であるリバビリン処理した細胞では観察されなかったことから、ウイルスの複製を必要とすると考えられた。さらに、ウイルスの非構成タンパクである2BCを過剰発現するとオートファジーが誘導されたことから、ウイルス自身のタンパク質によりオートファジーが誘導されると考えられた。また、感染時にToll-like receptor 3のリガンドとなる二本鎖RNAが産生されているかを検討するために、抗二本鎖RNAを用いて免疫染色を行ったところ、感染後3時間後に二本鎖RNAの産生が観察された。しかしながら二本鎖RNAはLC3と共局在は観察されなかったことから、二本鎖RNAはオートファゴソームには存在していないことが示唆された。ポリオウイルスによるオートファジー誘導が宿主細胞のどのような分子に依存しているかを明らかにするために、RNA認識経路に関与する分子について検討を行った。RIG-I, IPS-1, TICAM-1ノックアウトマウス由来MEFにPVRを過剰発現させ、ポリオウイルスによるLC3 puncta形成を比較したところ、野生型マウス由来MEFと明らかな差は見られなかった。このことからポリオウイルスによるオートファジー誘導はRNA認識経路の分子は関与していないことが明らかとなった。以上の結果よりポリオウイルス感染時に誘導されるオートファジーはウイルスタンパクである2BCにより誘導されており、この誘導にはRNAの認識は必要でないことが明らかとなった。
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