2009 Fiscal Year Annual Research Report
記憶想起のトップダウン信号:新開発MRI分子プローブによる起源の同定と機能の解明
Project/Area Number |
09J01438
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田村 啓太 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MRI / 電気生理学 / 可視化 / 制御 / 神経活動 / 脳機能 / イメージング |
Research Abstract |
本研究では、複数の脳部位間における機能の調節機構を明らかにすることで記憶想起のメカニズムの解明につなげることを目指している。脳部位間の機能の調節関係を調べるために、ある脳部位の神経活動を人為的に制御して他の脳部位の神経活動に現れる影響を解析するという方法が考えられ、その際効果を時空間的に観測する技術が必要となる。今年度、本研究ではMRIによって動物の脳の内部を観察し、更に電気生理学的手法を併用することで神経細胞の活動を計測する方法の確立に取り組んだ。 まず、ラットの頭部を高い分解能で観察するために、ラット頭部の撮像に特化した高感度受信コイルを作成した。また、MRI撮像時の電気生理学的記録に対する複数の障害を解消した。次にMRI観察の可能な神経活動調節試薬を設計し、有機化学的に合成した。試薬は神経活動に対する薬理学的作用とMRI造影能を有することが確認できた。そして、ラットの脳へ試薬を注入し、その前後に神経活動記録およびMRI撮像を一定時間間隔で継続的に行った。これにより試薬の分布と神経活動に対する薬理学的効果を観測することができた。 今回のMRIと電気生理学的手法を両立させる技術は、現在急速に進歩している光遺伝学手法など、薬理学的手法以外の神経活動制御に対しても適用することが出来る。今後はこうした神経活動制御についてその生理学的効果を時空間的に計測できるよう技術を展開し、脳部位間でどのように情報が伝達され、機能が調節されるのかを解明してゆく予定である。
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