2009 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物処分場における汚染物質を対象としたベントナイトのバリア機能に関する基礎研究
Project/Area Number |
09J01495
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 晶子 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ベントナイト / 膨潤特性 / 吸着能 / 鉛 |
Research Abstract |
今年度の研究では、主に異種類のベントナイトの鉱物組成や物性によるベントナイトの膨潤特性および鉛保持能の違いについて評価した。膨潤特性の評価として、ベントナイトの膨潤変形量と膨潤圧を測定した。供試体は段階的に乾燥密度を変化させて締固めた6種類のベントナイトを用いた。また、測定後の供試体の層間水厚を計算した。ベントナイトの膨潤性は、比表面積が大きいほど、また交換性陽イオン種のNaイオンの割合が大きいほど高くなった。ベントナイトの膨潤変形は、供試体の層間イオンのNa割合が高い試料ほど、スメクタイトの拡散二重層の発達による層間膨潤が起こり、層間水厚は線形的に増加した。ただし、比表面積が大きい試料でも、スメクタイト種がモンモリロナイト-バイデライト中間種を含む場合、膨潤量は小さくなった。これは、非膨潤性のバイデライトの含有による。ベントナイトの膨潤圧は層間水厚が小さい試料ほど上昇した。スメクタイト含有量が多い米国産のベントナイトは、乾燥密度が1.28Mg m^<-3>以上の供試体の場合、層間水厚が約0.75nm以下となり、膨潤圧の発生には層間膨潤がほとんど寄与していなかった。鉛に対する保持能は、バッチ試験、連続抽出試験およびX線回折によって異種類のベントナイトの鉛保持量と保持形態を評価した。Na型ベントナイトの最大鉛保持量は、米国産に比べて日本産試料が高い傾向があった。日本産ベントナイトの鉛保持能を高める最も大きな要因は炭酸カルシウムの含有量であった。形態別鉛保持量の測定結果から、ベントナイトの鉛保持には、イオン交換と炭酸塩態の形成が大きく寄与していた。日本産ベントナイトに含有するカルサイト(炭酸カルシウム)は、鉛の添加によって新たな鉛鉱物種を生成させた。このように、ベントナイトの膨潤特性や保持能は、鉱物組成や物性の違いによって大きく異なることが分かった。
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