2009 Fiscal Year Annual Research Report
大気海洋結合大循環モデルで再現された十年規模変動とその予測可能性
Project/Area Number |
09J01635
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前野 さやか (安中 さやか) 東京大学, 気候システム研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 海面水温 / 地球温暖化近未来予測 / XBTバイアス / 太平洋十年規模変動 |
Research Abstract |
海面水温(SST)は,全球規模で長い時系列を用意できる海洋資料で,気候変動調査には非常に有効である.これまで格子化データセットを様々な機関が作成・公開している。しかし,1970年以前の比較検討は限定的であるので,SSTデータセットを相互比較し,その差の原因を考察した。その結果,元データや作成方法の違いから,データセット間で大きな差があることがわかった。 地球温暖化に関する近未来予測実験では、大気海洋結合モデルを初期値化し、30年先までの気候予測を目指している。モデルの初期化には、長期にわたる良質の観測データが必要となるが、XBT (Expendable Bathythermograph)は、水温の鉛直分布または水温の鉛直分布を計測する測器で、特に1970年代から2000年代にかけての主要な観測器であるが、他の観測器による観測に比べて、高温バイアスが存在することが指摘されている。そこで従来の観測データを同化した予測実験(HCSTctl)と、XBTバイアス補正後の観測データを同化した予測実験(HCSTxbt)の比較を行い、XBTバイアス補正の影響を調べた。その結果、HCSTxbtの太平洋域で平均したRMSEはHCSTctlのものより約5%小さく、特に、熱帯や亜熱帯でRMSEの低下があった。太平洋域で最も卓越する変動でる太平洋十年規模変動(PDO)の予測結果を比較したところ、HCSTxbtおよびHCSTctlのPDOに関するRMSEは、観測のRMSや持続予測のRMSEよりも約7年間小さい。一方、NoASと比較すると、HCSTxbtは、信頼区間75%で予測可能であるが、HCSTctlは50%である。すなわち、HCSTxbtの予測スキルは、HCSTctlに比べて、約5年間高かった。
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Research Products
(4 results)