2009 Fiscal Year Annual Research Report
超強磁場を伴う一般相対論的高密度星に於ける巨大爆発現象の理論的解明と観測への提言
Project/Area Number |
09J02105
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 健太朗 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ブラックホール磁気圏 / 高次元ブラックホール |
Research Abstract |
私はガンマ線バーストや活動銀河核の中心エンジンの機構の一つとして考えられているBlandford-Znajek機構(BZ機構)について研究を進めた。BZ機構では磁場を通してブラックホールの回転エネルギーを引き抜くのだが、引く抜くエネルギーの総量を決定するためにはブラックホール周りの磁場形状を決定しなくてはならない。磁場形状はGrad-Shafranov方程式と呼ばれる方程式で決定される。このGrad-Shafranov方程式を解くには境界条件が必要となるが、回転しているブラックホール周りの磁場についての境界条件はあまりわかっていなかった。私はGrad-Shafranov方程式中にあらわれる特異面上での解の振る舞いを調べることにより、課すべき境界条件を特定することが出来た。今まではゆっくり回転しているブラックホール周りでしか磁場形状を決定できていなかったが、私の境界条件を使うことで高速回転しているブラックホール周りの磁場形状も原理的に決定できるようになる。現実に存在しているとされるブラックホールは高速回転していると考えられているので今後活動銀河核の中心エンジンにBZ機構を応用する場合は私の境界条件が必要になると思われる。 また私は高次元ブラックホールに関する研究も進めた。弦理論などで時空が高次元であることが予言され、大型加速器LHCで高次元が検出されることが期待されている。そのような高次元時空における重力理論を理解するためには高次元時空におけるブラックホールを調べることが有用であろう。私はそのために高次元時空における漸近的に平坦な時空というものを厳密に定義した。この定義の下ではどのようなブラックホールが存在し、ブラックホールがどのように重力波を放出していくかを調べることができる。この研究をさらに進めることで高次元時空における重力理論についての理解が深まるであろう。
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