2010 Fiscal Year Annual Research Report
超強磁場を伴う一般相対論的高密度星に於ける巨大爆発現象の理論的解明と観測への提言
Project/Area Number |
09J02105
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田辺 健太朗 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ブラックホール磁気圏 / 高次元ブラックホール |
Research Abstract |
宇宙における巨大爆発現象であるガンマ線バーストや活動銀河核における中心エンジンの機構を明らかにすべく、回転しているブラックホール回りの磁場構造決定問題に取り組んだ。 Blandford-Znajek機構(BZ機構)は磁場によるブラックホールの回転エネルギーの引き抜きにより巨大爆発現象を説明する1つの有力な模型である。しかし今のところBZ機構は低速回転のブラックホールのみに適用可能であり、高速回転ブラックホールに適用するにはさらなる高次の摂動方程式を解かなければならない。境界条件を保ちつつ高次摂動方程式の解析解を得るため、回転軸周りでさらに方程式を展開することで磁場形状を決めるパラメータを1つ決定することに成功した。未決定のパラメータはもう1つ残っているが、同様の手法により決定されることが期待される。この結果によりBZ機構を高速回転ブラックホールに適用することが可能となり、今後より巨大爆発現象の中心エンジンとしてのBZ機構の研究が進むと考えられる。 また高次元ブラックホールの分類問題にも取り組んできた。超弦理論により我々の宇宙は高次元であることが予想されている。この可能性を検証するには高次元時空における重力理論の根源的な理解が必要となり、その第一歩としてブラックホール解の理解がある。我々は様々な高次元ブラックホール解の重力ポテンシャルを多重極展開することでそれらの解を区別することに成功した。この結果は今後高次元ブラックホールを研究する際に有効な結果となる。
|