2009 Fiscal Year Annual Research Report
発生運命に関わるRNAのWnt依存的な非対称分配機構の解析
Project/Area Number |
09J02200
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高鳥 直士 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 発生運命 / 細胞極性 / mRNA局在 / 脊索動物 / ホヤ / Wnt |
Research Abstract |
動物の胚細胞は、外、中、内胚葉細胞の3つに大別される。これらのうち、中胚葉と内胚葉は中内胚葉細胞から作られる。この過程で中胚葉と内胚葉の運命を分ける分子機構について、細胞一個一個のレベルで詳細な理解が得られている例は非常に少ない。 (当該年度の開始時点)脊索動物のホヤの胚では中内胚葉細胞が分裂する際に、中胚葉になる娘細胞にのみ、Not遺伝子のmRNAをWnt依存的に分配することで運命を分離していることを明らかにしていた。 (今年度の成果)Not mRNAを中内胚葉細胞の将来中胚葉細胞を生じる領域に局在させる機構を調べた。その結果、(1)分裂前の細胞の核がNotRNAをザイゴティックに転写しつつ将来の中胚葉側に移動し、(2)細胞周期のM期にmRNAが核から細胞質に放出され、(3)染色体と分裂装置がmRNAを残して細胞の中央に戻ることを見出した。この過程で核の移動がmRNAの局在に必要であることを示した。これらの結果は、核の移動が運命の分離に重要な役割を果たすことを示している。多くの生物の細胞で観察されている核の移動について、新規の機能を示したおり、重要であるといえる。mRNAの局在を維持するために、分裂前のある時期の細胞間結合が重要であることを見出した。現在、これらの結果をまとめた論文を投稿中であるとともに、核の移動の極性を決定する機構について候補分子を使ったアプローチで探索している。
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