2010 Fiscal Year Annual Research Report
チンパンジーの情動行動に関する比較認知・行動学的研究
Project/Area Number |
09J02299
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
狩野 文浩 京都大学, 霊長類研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 情動 / チンパンジー / ゴリラ / オランウータン / 眼球運動 / アイ・トラッキング / マックス・プランク研究所 |
Research Abstract |
本年度は、非侵襲・赤外線角膜反射式アイ・トラッキング(眼球運動追従)の方法をさらに発展させた。アイ・トラッキングとは被験者の眼球運動(目の動き)を直接測定する方法のことである。チンパンジーとヒトの眼球運動の基本的な性質の比較研究を行い、2つの論文にした(うち一本はunder revisionのため業績欄から省く)。チンパンジーとヒトの注視箇所の選択パターンよく似ていること、一方で、チンパンジーの注視終了タイミングが全体にヒトよりも早いことをそれぞれの論文で報告した。また、比較研究の対象種を広げるために、ドイツ・マックスプランク研究所に3か月間渡航し、アイ・トラッキングの研究を行い。成果を挙げた。また、情動画像に対する反応に関してもアイ・トラッキングの手法を用いて調査を深めた。前年度に注視時間測定の手法を用いて行った、情動画像に対する反応の研究では、チンパンジーが同種の闘争場面に対して特に強い注視反応を示すことを見出したが、本年度は、その結果をアイ・トラッキングの手法を用いて追試し、さらに闘争場面のどこを具体的に見ているのか調べた(図4)。闘争場面と中立場面を対提示し、観察時の視線を記録した。結果、先行研究と同様に、チンパンジーが中立場面に比べて、闘争場面を長く注視することを追認し、さらに、闘争場面の中でも、優位個体の姿勢を長く見ること、劣位個体の顔を長く見ることを発見した(執筆準備中)全体を通して、アイ・トラッキングの手法を発展させ、情動研究を含む様々な研究に応用した点が本年度最大の成果である。
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Research Products
(4 results)