2010 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウムポルフィセン錯体によるZスキーム型光触媒系の構築
Project/Area Number |
09J02308
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大川原 徹 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィセン / ポルフィリン異性体 / 光誘起配位子置換反応 / 結晶構造解析 / 人工光合成 / ヒドロキシル基 / 電子移動 / プロトン移動 |
Research Abstract |
第1年度目は、ルテニウムポルフィセン錯体のX線結晶構造解析によって構造を明らかにした。第2年度目である今年度は、この知見を元にルテニウムポルフィセン、およびポルフィリン錯体の様々な類縁体についてX線結晶構造解析に成功した。現在、この構造をもとにした議論を行い、論文を執筆中である。 また、ヒドロキシル基を導入したヒドロキシポルフィセンについても第1年度に引き続き研究を行い、その過程でポルフィセンが「プロトン共役電子移動反応」、「水素原子移動反応」などの様々な基礎的ではあるが興味深い反応を行うということを見出した。このような挙動は通常のポルフィリンやポルフィセンでは観測されず、ヒドロキシル基を導入した効果である。これらヒドロキシポルフィセンの電気化学的挙動について、論文を投稿し、現在査読中である。さらに、ヒドロキシポルフィセンはポルフィリンとは異なり、大きな可視光吸収能を有していることから、今後人工光合成の観点から、非常に優秀な化合物となり得ると考えられる。天然光合成においてはプロトン共役電子移動によって光誘起電子移動をスムーズに進行させており、我々の化合物によってこのような天然を模倣した先進的な系を開発できる。 今後、より優れた光誘起電子移動反応系の構築のために、ポルフィセンと種々の電子アクセプターとの間での光誘起電子移動に関する評価をUV-visスペクトル、過渡吸収スペクトルなどを用いて行い、最終年度ではポルフィセンと電子アクセプターとの間での興味深い電子移動反応について考察する予定である。
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Research Products
(7 results)