2010 Fiscal Year Annual Research Report
局所的金属イオン濃度変化の検出を目指したタンパク質結合性蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
09J02346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊吉 祥平 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛍光プローブ / 亜鉛イオン / 銅一価イオン / 細胞内小器官 / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
本年度は、細胞膜局在型亜鉛蛍光プローブの開発及びレシオ型銅一価蛍光プローブの開発を行った。前者では、まずテトラメチルロサミン(TMR)骨格に亜鉛配位部位を結合させたモデル化合物LTMRを合成し、生理的条件下において種々の測定を行ったところ、亜鉛イオンの添加に伴って90倍程度の蛍光増大が観測された。また、この蛍光応答性は亜鉛特異的であったことから、LTMRは亜鉛蛍光プローブとして十分な機能を有していることがわかった。次に、LTMRのメチル基を長鎖アルキル基ジオクタデシルアミン(DODA)で置換したLR-DODAを新規に合成した。亜鉛イオンに対する蛍光応答について検討したところ、LTMRで得られた結果と同様、強い蛍光増大が確認された。DODAは細胞膜に固定化されるが、亜鉛結合部位は膜非透過性であることから、LR-DODAは細胞膜外側における局所的な亜鉛濃度変化をイメージングできるツール分子として機能することが期待できる。後者では、前年度報告したベンジルエーテルを介して還元型フルオレセインに三座配位子TPAを結合させた化合物(FluTPAs)のFRET機構に基づいたレシオ型プローブへの拡張を目指し、FluTPA骨格へのエネルギードナーとしてのクマリン誘導体の導入を試みた。ピペラジンあるいはシクロヘキサンをリンカーとする化合物CC-FluTPA2およびCP-FluTPA2をそれぞれ合成し、銅一価イオンに対する蛍光応答能や金属イオン選択性などから、レシオ型蛍光プローブ分子としての機能を総合的に評価した。2mMアスコルビン酸ナトリウム存在下において、1μM CC-FluTPA2メタノール溶液の蛍光スペクトル測定を行ったところ、465nm付近にクマリン部位由来の蛍光が観測された。また、この溶液に5当量の銅一価イオンを添加したところ、465nmの蛍光の減少とともに、フルオレセイン部位由来と考えられる510nmの蛍光の増大が確認された。加えてCC-FluTPA2は銅一価イオンに対して選択的な蛍光応答を示す事が確認され、銅一価蛍光プローブとして十分な機能を有していることが示唆された。
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