2009 Fiscal Year Annual Research Report
視覚的注意が作用する物体領域認識アルゴリズム研究―注意による神経細胞同期変化―
Project/Area Number |
09J02583
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
我妻 伸彦 The Institute of Physical and Chemical Research, 脳回路機能理論研究チーム, 特別研究員(PD)
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Keywords | 視覚的注意 / 視覚情報処理 / 同期 / マイクロサーキットモデル / 計算論的モデル |
Research Abstract |
1.視覚情報処理における神経細胞の同期が果たす役割を検討するため、bottom-up的な視覚情報とtop-down的な視覚的注意が作用する詳細な初期視覚野のマイクロサーキットネットワークモデルを構築した。さらに、ネットワークモデルを生理学・解剖学的知見に基づく側抑制で結合した皮質ネットワークモデルへと拡張し、その情報処理メカニズムを検証した。 我々の目に投影された視覚情報は、網膜から外側膝状体を通じ、初期視覚野へと伝達される。初期視覚野では、視覚情報のようなbottom-up的情報と視覚的注意に代表されるtop-down的情報が統合的に処理される。本年度の研究では、空間情報と物体情報を仲介すると考えられる初期視覚野を生理学的知見に基づき、皮質マイクロサーキットモデルを構築した。提案モデルには、bottom-up的な視覚情報、top-down的な視覚的注意、そして2つのマイクロサーキット間の情報を伝達する側抑制を実装した。異なる種類の情報を提案モデルに与え、反応や処理メカニズム、そして情報統合に重要な役割を果たすと考えられる神経細胞間の同期について観測・考察した。視覚的注意は、初期視覚野の皮質マイクロサーキットモデルの反応を強調するだけでなく、モデルを構成する神経細胞のリズムをも変調させた。これらの変調は、top-down的・bottom-up的情報が、初期視覚野で統合される可能性を示唆している点で重要である。 2.特徴に基づく注意が、大脳の物体情報処理に与える影響を計算論的・心理物理学的に検討した。初期視覚野に特徴に基づく注意が作用する図方向選択性細胞の計算論的モデルを構築した。モデルの反応を、特徴に基づく注意を制御した心理物理実験により計測したヒトの図方向知覚と比較した。モデルと実験の結果は定量的に良い一致を示した。これは、初期視覚野への注意が大脳情報処理系で重要な役割を果たす事を示唆している。 本年度の結果に基づき、視覚のマイクロサーキットモデルをさらに発展させていく予定である。
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Research Products
(8 results)