2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02587
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高尾 聖心 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 放射線治療 / 腫瘍体積 / 腫瘍形状 / 線量分布 / 強度変調放射線治療 / 腫瘍重心変動 |
Research Abstract |
放射線治療における腫瘍の縮小過程を予測するための治療効果シミュレーションモデルを提案し,頭頸部リンパ節腫瘍の放射線治療症例6例への適用を試みた.臨床で問題となっている治療開始前の治療計画期間中における腫瘍細胞の増殖および治療期間後期の再増殖の過程を指数関数モデルを用いて表現し,シミュレーションに組み込んだ.シミュレーション結果は各症例における腫瘍体積変化の傾向を的確に表しており,本モデルの有効性が確認された.また,病理や腫瘍初期体積などの因子と治療効果の関係について調査した.その結果,病理と治療効果が高い相関を有していることが明らかとなった.これは治療開始前の病理判定からシミュレーションにおけるパラメータを推定し,その値を用いて治療効果を予測可能であることを示している.続いて,表面形状マップを用いて治療期間中の腫瘍形状変化の解析を行った.その結果,6例の頭頸部リンパ節腫瘍において治療期間中を通して腫瘍形状は大きく変化せず,相似形を保ったまま縮小していることが明らかとなった.また,治療計画装置の画像位置合わせ機能および自作のプログラムを用いて,治療期間中の腫瘍重心位置の変動を解析した.腫瘍の重心位置変動は頭尾,左右,前後方向ともおおむね±5mm以内であった.以上の結果から,治療期間中の腫瘍周辺組織の被曝線量を低減させるためには,照射領域をその中心に向かって均一に縮小させる手法が有効であることが示された.さらに,治療期間中の腫瘍形状変化および位置変動を考慮した腫瘍線量分布の解析ソフトウェアを作成した.その結果,治療期間を通して腫瘍へは十分な線量が照射されていることが確認された.以上の成果は,腫瘍線量を維持しつつ周辺組織の被爆を低減する高精度な放射線治療の実現において重要な意味を持つ.
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