2009 Fiscal Year Annual Research Report
繊毛虫テトラヒメナにおける核アポトーシス分子機構の解明
Project/Area Number |
09J02589
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
明松 隆彦 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | テトラヒメナ / 繊毛虫 / 核アポトーシス / ミトコンドリア / AIF / Endonuclease G |
Research Abstract |
繊毛虫は接合(有性生殖)を通じて親世代の旧大核を選択的に退化させる。この過程ではクロマチン凝縮・核凝縮・DNAラダー状分解などのアポトーシスに似た特徴がみられることから、プログラム核退化(Programmed Nuclear Death; PND)あるいは核アポトーシスと呼ばれ、プログラム細胞死との関連が注目されている。本年度は、PNDにおけるミトコンドリアの関与を検証するため、進化的に保存性の高いアポトーシス因子であるApoptosis-inducing factor(AIF)の働きに着目した。 GFP融合AIF発現株を作成して細胞内局在を観察したところ、GFPシグナルは旧大核を取り囲み、徐々に核内へ移行する様子が観察された。このことからAIFは自食胞内でミトコンドリアから旧大核へ移行し、PNDに関与している可能性が考えられた。 機能解析を行うために相同組換えによるAIF遺伝子のノックアウトを行ったところ、野生株に比べて核凝縮やゲノムDNAの高分子断片化に数時間の遅延を生じることがわかった。一方、ライソソームに起因する酸性化と最終的な核退化は正常に起こったことから、AIFはPNDの初期過程に関わる因子であると考えられた。さらに、ノックアウト株由来のミトコンドリアタンパク質は野生株由来に比べてDNase活性が著しく低下しており、ミトコンドリア内在性DNaseとの相互作用が疑われた。これは、センチュウのアポトーシスにおけるwah-1(AIFのオルソログ)とcps-6(EndoGのオルソログ)との関係に酷似していた。 現在、この未知のDNase遺伝子を特定するため、精製したミトコンドリアタンパク質のDNA-SDSPAGEを行い、DNase活性を示したバンドの質量分析を行っている。今後は、候補DNaseの細胞内局在や、AIF遺伝子とのダブルノックアウト株を作成する予定である。
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Research Products
(4 results)