2009 Fiscal Year Annual Research Report
DNAを利用した機能性バイオ分子の精密配列制御および高度集積化プロセスの確立
Project/Area Number |
09J02674
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋田 如水 Kyushu University, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アプタマー / 融合タンパク質 / DNAテンプレート / DNA-タンパク質複合体 |
Research Abstract |
DNAは、遺伝情報を司るだけでなく、相補鎖との選択的な結合および特定分子と特異的な結合特性を示す。本研究では、このようなDNAの物理的・化学的特性を"鋳型"として活用した、新たなタンパク質連結体作製プロセスの確立を目指し、タンパク質機能を高度に集積化させたタンパク質連結体の作製を目的としている。本方法論では、鋳型となる人工合成DNAと共に、タンパク質を鋳型上に一時的に固定化するために、特定のタンパク質に結合特異性を示すDNA(アプタマー)を利用した。今年度は特定タンパク質の連結体の構築を検討した。連結させるモデルタンパク質として、トロンビンを選択し、トロンビン連結体の作製と連結場所の指定(連結数の制御)を行った。 具体的には、鋳型DNAを調製後にトロンビンをDNAアプタマーによって鋳型DNA上に配列化させた。さらに、鋳型DNA上のトロンビンは物理的に近接しているため、二官能性試薬によりトロンビン間を架橋することで、トロンビン連結体を調製した。DNA-トロンビン複合体の確認およびトロンビン連結体の解析は、主にポリアクリルアミドゲル電気泳動(Native-PAGEやSDS-PAGE)による分子量バンドの変化により行い、鋳型DNAの塩基配列設計により、トロンビン連結体の作り分けに成功した。 既存のタンパク質連結化手法と比較して、本研究は、鋳型DNAの配列設計により人工的にタンパク質の個数を制御可能である点、DNAの塩基配列をタンパク質の連結順序に反映させられる点が大きな特徴である。本方法論は、タンパク質の精密な配列制御および高度集積化が可能であり、タンパク質連結体の活性評価や互いに共役なタンパク質群のDNAアプタマーを組み合わせることで、新たなバイオプロセスの構築とその応用性という観点から非常に興味深い。
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