2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNAを利用した機能性バイオ分子の精密配列制御および高度集積化プロセスの開発
Project/Area Number |
09J02674
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋田 如水 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DCI)
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Keywords | アプタマー / 融合タンパク質 / DNAテンプレート / DNA-タンパク質複合体 |
Research Abstract |
本研究では、DNAの特性を"鋳型"として活用した、新たなタンパク質連結体作製プロセスの確立を目指し、タンパク質機能を高度に集積化させたタンパク質連結体の作製を目的としている。本方法論では、鋳型となる人工合成DNAと共に、タンパク質を鋳型上に一時的に固定化するために、特定のタンパク質に結合特異性を示すDNA(アプタマー)を利用した。昨年度までに、連結させるモデルタンパク質としてトロンビンを選択し、トロンビン連結体の作製と連結場所の制御について実証した。今年度は、実際に作製したトロンビン連結体の作製最適条件と連結体の分離し、形状観測について、および、鋳型DNAを利用して抗体を末端に修飾した異種タンパク質複合体の作製について検討した。 具体的には、トロンビンと鋳型DNAの相互作用に最適な塩濃度を検討した。また、鋳型DNAの塩基配列に依存してトロンビン連結体の収率が変化することを明らかにした。作製したトロンビン連結体を分離・精製し、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、形状観測を行ったが、トロンビン連結体の画像取得には至っていない。今後、DNAの塩基配列を再検討することでトロンビンを一次元状に配列させ、画像取得を目指す予定である。一方で、鋳型DNAの配列設計を行うことで、トロンビンだけなく抗体を末端に修飾を行った。その結果、同種タンパク質連結体の作製だけでなく、本方法論により、異種タンパク質連結体を作製できることが示唆された。 本研究は、鋳型DNAの配列設計により人工的にタンパク質の個数や連結順序が制御可能である点が大きな特徴である。この方法論により作製されるタンパク質連結体は、機能を保持するだけでなく、高度に集積化できるため、共役なタンパク質群に適用することで、新たなバイオプロセスの構築とその応用性という観点から非常に興味深い結果が得られると期待される。
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