2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜成分クラスター形成を促進するアルギニンペプチドの開発と細胞内薬物送達への展開
Project/Area Number |
09J02741
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
広瀬 久昭 Kyoto University, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルギニンペプチド / 膜透過ペプチド |
Research Abstract |
アルギニン残基を豊富に含むアルギニンペプチドは、タンパク質や核酸などの効率的な細胞内導入に広く応用され、薬物送達への応用や細胞生化学的研究におけるツールとしても注目されている。アルギニンペプチドの細胞内移行メカニズムに関して様々な知見は得られてきているが、その詳細に関しては未だ解明されていない。申請者らは、アルギニンペプチドが細胞内へ流入する際、細胞膜表面上に、ある特異的構造物が形成されることを新たに見出している。そこで本研究ではこの構造物の解析を中心に、アルギニンペプチドが流入するメカニズムを明らかにし、得られた知見をもとに新たな細胞内導入ペプチドベクター設計を行うことを目的とする。今年度、細胞表面の粒状構造物は、アルギニンペプチドを蛍光ラベルしたことによる影響があることが明らかになり、さらに検討を行った結果、疎水性あるいは芳香族性をもった化合物が付加されると形成されやすいことが分かった。これは新たなペプチドベクター設計に重要な知見となりうるものである。また、粒状構造物には脂質成分が集積していることが考えられ、ラフト構成成分である脂質が集積していることが分かった。しかし、コレステロールを除去する薬剤で処理した細胞においても粒状構造物は形成された。このためラフトの関与に関してはさらなる検討が必要である。またさらに、粒状構造物の膜構造を観察するために、live-CLEM法を共同研究として行っている。この方法により、生細胞で観察した同じ細胞を電子顕微鏡で観察できるので、明確にかつ詳細に粒状構造物の膜構造を観察することが可能であり、重要な知見を得ることができるものと期待し、さらに詳細に検討を行っているところである。
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Research Products
(2 results)