2009 Fiscal Year Annual Research Report
砂防ソリューション提案機能を実装した汎用土石流シミュレータ開発
Project/Area Number |
09J02760
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中谷 加奈 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 砂防 / 土石流シミュレーション / 砂防ソリューション / 汎用 / 砂防構造物 / 提案機能 |
Research Abstract |
従来、適切な砂防構造物の種類・数・サイズ・設置位置等の最適解(以下、砂防ソリューションと呼ぶ)探求業務は、計算技能を有するコンサルタント等一部の専門家の独占状態であり、その妥当性を確認・検証する術が無かった。本年度は、不透過過型の砂防堰堤一基を設置する場合を対象とした最適砂防ソリューションについて検討し、申請者がこれまでに開発した汎用土石流シミュレーションシステムに、簡易的な最適砂防ソリューション提案システムを搭載した。まず、土石流災害や砂防構造物設置地域に関する情報を収集・分析し、災害事例や仮想領域を対象として被害指標の設定や、実災害事例や仮想的な地形上において砂防堰堤を設置して、設置位置と高さに着目した被害軽減効果を考察した。対象地点の直上領域に堰堤を設置するのが安全であること、急勾配地や対象地点から離れた位置に砂防堰堤を設置した場合には効果がほとんど得られないこと、同じ地形条件であっても初期河床材料の有無や供給する土石流によって最適解は変わることが明らかとなった。 計算結果から、被害基準指標には下流端における最大堆積土砂量が有効と推察された。他にもピーク流量、並びにピーク到達時刻の項目を被害指標とした際、それぞれの項目についての最適解を、ユーザーが設定した対象地点について導出・提案する簡易的な砂防ソリューション提案システムを開発した。地形条件や供給される土石流の規模、被害軽減の対象となる地点、設置する砂防堰堤の種類・高さ・設置範囲について、画面に表示される手順に従うことで、直観的かつ対話的に行えるようUIを実装した。計算結果についても初期状態、安全側の解、危険側である解、施設無しの解をビジュアルに表示することでユーザー側に直観的に理解されるシステムとした。
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