2010 Fiscal Year Annual Research Report
繊維状接着構造形成におけるビネキシンファミリータンパク質の機能解析
Project/Area Number |
09J02878
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬崎 拓人 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ビネキシン / 接着斑 / Dlg5 / TGF-β / 上皮間葉転換 / ラフト / ノンラフト |
Research Abstract |
これまでに、接着斑に局在すると考えられていたアダプター型の接着領域裏打ちタンパク質であるビネキシンが特定の条件下で繊維状接着構造に局在することを見出している。そこで、接着斑と繊維状接着構造形成の決定にアダプター型の接着領域裏打ちタンパク質がどのように関与しているのかを検討している。平成22年度はビネキシンが接着斑形成に与える影響を検討するために、ビネキシンノックアウト細胞と、ビネキシンノックアウト細胞にビネキシンを再発現させたビネキシン誘導細胞を用いて、接着斑の数と大きさを比較した。その結果、ビネキシン誘導細胞ではビネキシンノックアウト細胞と比較して、接着斑の数が増加していることが分かった。また、ビネキシン結合性アダプタータンパク質Dlg5はTGF-β受容体からp38、JNKへのシグナルを抑制することで細胞の上皮間葉転換を抑制していることを明らかにしてきた。TGF-β経路は細胞骨格の形成やコラーゲン繊維の形成を促進すると考えられているシグナル経路である。TGF-βシグナル経路はTGF-β受容体の局在によってシグナルの流れ方が異なることが報告されていることから、平成22年度はDlg5がTGF-β受容体の細胞内局在に与える影響について検討した。その結果、ビネキシン結合性タンパク質Dlg5の発現を抑制しても、TGF-β受容体の細胞膜表面と細胞質内の局在比に大きな影響を与えないことが分かった。また、Dlg5の発現を抑制してもTGF-β受容体のラフト、ノンラフトへの局在に大きな影響を与えないことが分かった。このことから、Dlg5はTGF-β受容体の細胞内局在を制御するのではなくTGF-β受容体の発現量などを調節することで、TGF-βシグナルを制御している可能性が考えられる。
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