2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規分離共生培養装置を用いたGMOからnon-GMOへの新機能付与法の開発
Project/Area Number |
09J02920
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 夏子 京都大学, 農学研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
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Keywords | Moonlighting proteins / non-GMO / 機能付与 / 解糖系酵素 / Enolase / unconventional secretion |
Research Abstract |
本年度は自然界で用いられているMoonlighting proteinsの制御機構に焦点を絞って研究を進めた。解糖系酵素をはじめとするMoonlighting proteinsは、細胞内に存在すると同時に細胞外でも数々の重要な機能を果たすことが知られており、本研究の実施計画で構築目標とした分子の性質(細胞から分泌され、他の細胞に作用する)を備えた天然のタンパク質分子であるといえる。この分子がどのような制御によって細胞内外の局在変化、および機能の使い分けを行っているのか解明できれば、多様な機能を適切な場所で発揮できる、いわば分子機械としてのタンパク質設計が可能になるのではないかと考えた。解糖系酵素のうち、細胞表層プロテオーム解析およびリコンビナントタンパク質を用いた分泌解析によって、解析対象として適したものを絞り込んだ。選択した分子、Enolaseが細胞内外を移動する経路を調べたところ、SNAREタンパク質をコードする遺伝子であるTLG2依存的に分泌が行われることを見出した。さらに解析を進めた結果、Enolaseの分泌機構はこれまでに報告されたタンパク質の分泌機構と同一ではないことが分かってきた。解糖系酵素の分泌は発がんや様々な疾患にかかわる重要な現象だとみなされているにも関わらず、その機構はこれまでにほとんど解明されてこなかった。今回の結果は機構の全容解明に大きく貢献すると考えられる。解析の過程でさらに、低酸素条件で解糖系酵素の局在が変化することを見出した。現在局在変化の調節機構やその生理的意義に関して詳細に研究を進めているところである。低酸素は発がん等において近年注目を集める重要な環境要因であり、がん化過程でみられる代謝変化が今回見つかった解糖系酵素の局在変化に起因するものであれば、その制御機構を抑えることで発がん抑制が可能になるかもしれない。
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Research Products
(15 results)