2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02944
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横野 牧生 Kobe University, 自然科学系先端総合研究環分子フォトサイエンス研究センター, 特別研究員(PD)
|
Keywords | photosynthesis / energy transfer / bioinformatics |
Research Abstract |
光合成反応中心複合体の環境適応過程の解明を目的とし、絶滅危惧種を含む培養困難な種までを含めた幅広い光合成生物を対象に、光捕集アンテナ・反応中心複合体における励起エネルギー移動の観測を行った。本年度はシアノバクテリア、紅藻、緑藻、高等植物を含む10種の時間分解蛍光の測定を行い、PSII反応中心由来の遅延蛍光スペクトルの解析を行った。これに加え過去に測定してきた珪藻を含む合計23種の結果を検討したところPSIIコア由来の励起エネルギーの分布パターンは以下のように分類できた。 1)主にCP43に分布するもの。 2)CP43だけでなくCP47まで分布するもの。 3)CP43的CP47にとどまらず、PSIにもスピルオーバーするもの。 これに加えProchlorococcusは特有の励起エネルギー分布を示し現時点で1~3のどれにも分類できなかった。 これらの相違がどんな遺伝的由来なのかを解析するために、NCBIで全ゲノムが公開されている875種について、各遺伝子の総当たりでのホモロジーサーチを行い、各遺伝子の生物間分布パターンをデータベース化した。これにより機能が全く未知の遺伝子であっても、その生物間分布パターンを元に機能の類推を行うことが出来るようになった。 1)と2)の違いの原因はCP47のアミノ酸配列にあると予想されたが、一部の種ではこれだけでは説明がつかず、今後の検討が必要である。3)については緑藻と紅藻でスピルオーバーが確認された。今後は両者にのみ共通な遺伝子を絞り込むなど解析を進める予定である。1上3)のどれにも分類できていないProchlorococcusについては、原因遺伝子を上述のデータベースにより特定済みであり、共同研究により改変体のサンプルが完成した。これを解析することにより特有のエネルギーの分布の原因を明らかにできると考えている。
|