2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J02944
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
横野 牧生 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | photosynthesis / energy transfer / spillover / bioinformatics |
Research Abstract |
光合成反応中心複合体の環境適応過程の解明を目的とし、幅広い光合成生物の光捕集アンテナ・反応中心複合体における励起エネルギー移動の解析を行った。前年度に、)1特に紅藻においてPSIIコア由来の励起エネルギーがPSIにもスピルオーバーする、2)シアノバクテリアでもProchlorococcusは反応中心付近のエネルギー移動に他とは異なる特徴があり、特定の遺伝子の変異が原因となっている可能性がある、ことが明らかになった。今年度は、1)については、前年度に測定した3種に加え、Porphyra yezoensis、Chondrus giganteus、Prionitis crispateの3種を追加サンプルとして用いた。これらは個々の藻体でも部位によってPSIIに接続するアンテナサイズが大きく異なるという特徴を持ち、PSIIアンテナサイズと、両反応中心の接続状態との関連を調べる上で好都合であった。解析の結果、紅藻では種によらずPSIIアンテナサイズが大きいほど両反応中心が互いに接続して励起エネルギーをやり取りしていた。2)のProchlorococcusについては、特定された原因遺伝子を改変したSynechocystis変異体と野生型のProchlorococcusとの比較検討を行った。その結果、ProchlorococcusのPSII反応中心における特徴的なエネルギー移動経路のうち一部は推定された原因遺伝子によるものであったが、それ以外の要因がまだあることが示唆された。このことはProchlorococcusが独自の色素を獲得した後にそれを保持するPSII反応中心に複数回の環境適応が起こったことを示している。今後はまだ特定されていない要因について検討を進める。
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