2009 Fiscal Year Annual Research Report
半人工多糖・イオン性基修飾カードランを用いたゲスト化合物の垂直配向
Project/Area Number |
09J03047
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉川 幸太 Kyushu University, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 多糖 / シアニン色素 / 静電相互作用 |
Research Abstract |
申請者はゲスト包接能を有する反人工多糖である6位修飾カードランを用いて、ゲスト分子の基板上での垂直配向を目指し研究を行っている。本年度は6位修飾カードランの一種であるカチオン性カードラン(CUR-N^+)のゲスト包接能と分子認識能を調べるため、アニオン性色素分子であるメロシアニン色素(MC540)との複合化を検討した。 MC540水溶液にCUR-N^+水溶液を添加した際の吸収およびCDスペクトル測定の結果より、CUR-N^+が存在することでMC540が二量体を形成しながら複合化することが明らかとなった。MC540との電荷が等量となるCUR-N^+を添加したときに吸収およびCDスペクトル変化が最大となったこと、および塩を添加するとそれらの変化が小さくなることから、MC540がCUR-N^+と静電的に相互作用することで二量体の形成および複合化が促進されていると考えられる。AFM観察の結果、CUR-N^+を添加した溶液からは高さが0.5-0.8nmのファイバー状構造体が観察された。CUR-N^+のみあるいはMC540のみからはこのようなファイバー構造は観察されないことから、CUR-N^+はゲスト分子と複合化することでファイバー構造を形成することが示唆された。最後に、CUR-N^+によるMC540の光安定化効果を調べた。 その結果、CUR-N^+と複合化したMC540の光安定性が著しく向上していることが明らかとなった。このことからもMC540がらせんの内側に取り込まれていると考えられる。 今回申請者が得たCUR-N^+に関する基礎的知見は、本研究課題であるゲスト分子の垂直配向を目指す上で極めて重要なものであり、来年度以降の発展が期待できる。得られた研究成果を元に論文を執筆し、現在投稿中である。
|
Research Products
(4 results)