2010 Fiscal Year Annual Research Report
半人工多糖・イオン性基修飾カードランを用いたゲスト化合物の垂直配向
Project/Area Number |
09J03047
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉川 幸太 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多糖 / テンプレート重合 / 静電相互作用 / ポリピロール / 金ナノ構造体 |
Research Abstract |
申請者はゲスト包接能を有する半人工多糖である6位修飾カードランを用いて、ゲスト分子の基板上での垂直配向を目指し研究を行っている。前年度までにカチオン性のカードラン(CUR-N^+)がアニオン性色素分子であるメロシアニン540と複合体を形成し、その光退色性を抑制することを明らかにした。この研究成果を元に本年度はイオン性のカードランをテンプレート分子として用いることを着想し、一次元金ナノテープおよびポリピロールワイヤーの合成を試みた。 塩化金酸水溶液にCUR-N^+水溶液を添加し塩基性条件下で光還元を行ったところ、幅30-100nm、長さ数百nm-数μmのテープ状の金ナノ構造体が得られた。リファレンス実験よりCUR-N^+のカチオン部位およびゲスト包接能が金ナノテープの形成に必須であることが示された。またIRスペクトル測定より、CUR-N^+の水酸基が光還元の電子源になっていることが示唆された、次にアニオン性のカードランでるCUR-SO_3^-存在下でピロールの酸化重合を行うことで、酸化重合が促進され、孤立分散したポリピロールワイヤーが得られることが明らかとなった。非イオン性の多糖を用いてもこのようなワイヤー状の構造体は得られないことから、CUR-SO_3^-のアニオン部位による濃縮効果により効率良く酸化重合が進行していると考えられる。また、得られたポリピロールワイヤーをヒドラジンで還元することで分裂型の円二色性効果を示したことから、CUR-SO_3^-がポリピロールを包接していることが明らかとなった。 今回申請者が得たCUR-N^+およびCUR-SO_3^-に関する基礎的知見は、本研究課題であるゲスト分子の垂直配向を目指す上で極めて重要なものであり、来年度以降の発展が期待できる。得られた研究成果を元に論文を執筆し、現在投稿中である。
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