2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体内におけるT細胞の恒常性破綻と免疫疾患の発症機序の解明
Project/Area Number |
09J03133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
但馬 正樹 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | IL-17 / IFN-γ / CD8^+T細胞 / 大腸炎 |
Research Abstract |
リンパ球の存在しないRAG2^<-/->マウスにnaive CD8^+T細胞を移入することによって引き起こされる大腸炎モデルにおいて、IL-17/IFN-γ double positive (DP)細胞の存在をこれまでに報告してきた。これはin vitroにおいてTc17にIL-12を加えること(conversion)によって高率に誘導されるが、このconverted Tc17細胞群のより詳細な性状を明らかにすることを目的に私はepigeneticなアプローチをすることで解析を行った。Tc17細胞、converted Tc17細胞を、それぞれクロマチン免疫沈降法(ChlP)を用いてIL-17、IFN-γ、さらにこれらの産生に重要である転写因子RORγt、T-betのプロモーター領域におけるヒストンメチル化の度合いを解析したところ、Tc17細胞ではIL-17/RORγtが転写促進、IFN-γ/T-betが転写抑制されているのに対し、converted Tc17細胞はIL-17/RORγtとIFN-γ/T-betがともに転写促進されているようなヒストン修飾を受けていることが明らかになった。Converted Tc17細胞群はIL-17とIFN-γの産生能に従って4つのpopulationに分けることができる。これらの細胞のヒストン修飾を解析するため、これら4つのpopulationを分離して同様にChlPを行ったところ、IL-17とIFN-γの産生能と同じ傾向でそれぞれのプロモーター領域がヒストン修飾されていることが明らかになった。これまでIL-17とIFN-γはお互いの産生を抑制しあうことから、まったく異なる細胞群が産生していると考えられてきたが、CD8^+T細胞が、IL-17とIFN-γは同時に産生できる可塑性を有していることがepigeneticな手法により明らかになった。
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