2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
羽場 亮太 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CRTH2 / PGD_2 / 精神機能 / Sickness behavior / 興味・好奇心 / うつ様表現型 / 行動薬理学 / 扁桃体 |
Research Abstract |
研究代表者が所属する研究室では、神経ペプチドPACAPの遺伝子欠損(KO)マウスが示す日内行動リズム調節障害の分子基盤研究から、本行動調節へのPGD_2のII型受容体(CRTH2)の関与を示し、脳内CRTH2の生理機能を初めて実証した。本研究では中枢神経系におけるCRTH2の機能解明を目的とし、本年度は以下の結果を得た。 1.CRTH2-KOマウスは強制水泳試験で無動時間の減少(抗うつ様行動)を示す、という前年度の成果に着目し、尾懸垂試験など4種のうつ/不安様行動評価系による表現型解析を行った。いずれも有意な表現型変化が検出されなかったことから、CRTH2は強制水泳試験で検出可能な特定の情動機能発現に選択的に関与する可能性を示した。 2.CRTH2拮抗薬(ラマトロバン等)の末梢あるいは中枢投与がlipopolysaccharide(LPS)末梢投与で誘発される新奇物体探索行動の減少作用に対して完全な拮抗作用を示すこと、CRTH2-KOあるいはラマトロバン投与マウスではLPSによる扁桃体中心核や視床下部室傍核の活性化が障害される一方で延髄孤束核(末梢炎症反応を脳内に伝える中継核)の活性化は保持されることを見出し、LPSで誘発される物体探索行動減少や扁桃体中心核などの活性化における中枢CRTH2の関与(脳内CRTH2の病態的役割)を初めて明らかにした。 3.上記LPSによる新奇物体探索行動の減少の詳細を解析したところ、本表現型は他のLPS誘発行動変化と比較して最もLPSに対する感受性が高く、また持続的な表現型であること、さらにこの行動変化は物体に対する興味・好奇心の減少を反映した表現型であることを示唆する知見を得た。
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Research Products
(6 results)