2010 Fiscal Year Annual Research Report
後期近代社会における犯罪不安に関する研究-少年犯罪の社会問題化を事例として-
Project/Area Number |
09J03152
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
赤羽 由起夫 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 少年犯罪 / 聖・俗・遊 / 「普通の子」 / リスク / モラル・パニック / 「心の闇」 / アノミー |
Research Abstract |
平成22年度は以下の4点の研究活動を行った。 1.1年目での研究成果の発表 (1)2010年6月20日には、「犯罪とマス・メディアをめぐる聖・俗・遊」という自由報告を関東社会学会第58回大会において発表した。(2)2010年7月には、「『普通の子』による凶悪犯罪と『心の理解』」という論文を『青少年問題』639号に発表した。(3)2010年10月には、「『リスク』としての少年犯罪とモラル・パニック-『普通の子』の凶悪犯罪報道に着目して」という論文を『犯罪社会学研究』35号に発表した。 2.文献資料の収集 戦後の少年犯罪報道を分析資料として用いるために新聞と週刊誌の収集を継続的におこなった。 3.文献資料の分析 (1)現在の少年犯罪報道の特徴の一つとして、犯罪少年の在学していた学校に対する強い非難の声があげられる。そのため、学校内で起きた事件である1979年の羽幌事件と2004年の佐世保事件の報道を比較することで、どのようにマス・メディアが学校を非難するのかを分析した。(2)少年犯罪への不安を増大させた原因として指摘される語られ方として「心の闇」がある,この「心の闇」の語られ方を、エミール・デュルケムのアノミー論を援用して分析した。 4.今年度の研究活動の成果の発表 (1)上記の3(1)の研究成果を、2010年9月26日に、「学校内での子どもの殺人と学校の『責任』-佐世保同級生殺害事件を事例として」という自由報告として日本社会病理学会第26大会自由報告において発表した、(2)上記の3(2)の研究成果を、「なぜ『心の闇』は語られたのか-少年犯罪報道に見る『心』の理解のアノミー」という論文として『社会学評論』に投稿した。
|