2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03228
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉崎 恵悟 Kyushu University, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | エナメル芽細胞 / ネフロネクチン / 細胞分化 |
Research Abstract |
本研究では、歯胚発生過程におけるエナメル芽細胞の分化メカニズムを明らかにするために、1)歯の発生におけるネフロネクチンのパターンの解明、2)ネフロネクチンによるエナメル芽細胞分化制御解明、3)ネフロネクチンいたエナメル芽細胞分化誘導法の開発を主な目的として、研究を開始した。 本年度は主に、ネフロネクチンの歯胚発生過程における発現パターンの解明、歯胚器官培養系におけるネフロネクチンの機能解析を行った。 まず、歯胚発生におけるネフロネクチンの局在を確認するため、胎生13.5日齢マウスより凍結切片を作成し、免疫染色法にてネフロネクチンの蛋白レベルでの発現を確認した。上顎第一臼歯歯胚において、上皮に強い発現が観察された。さらに、歯胚の上皮と間葉を顕微鏡下にて分離し、リアルタイムPCRにて上皮と間葉におけるネフロネクチンの発現パターンをRNAレベルで解析したところ同様に間葉と比較して上皮に強い発現が認められた。また、基底膜分子であるヘパラン硫酸プロテオグリカンとネフロネクチンの多重染色において、局在の一致が認められたことから、ネフロネクチンは基底膜に局在し、細胞外マトリックス分子として、歯胚発生に何らかの影響を与えている可能性が示唆された。さらに、歯胚発生の各ステージにおいてネフロネクチンの発現パターンを解析するため、胎生13日齢から生後7日齢までの歯胚を採取し、ネフロネクチンの発現量をリアルタイムPCRにて比較した。その結果、胎生13日齢から生後3日齢まではその発現に大きな変化は認められなかったが、生後7日齢でネフロネクチンの発現量が低下した。解剖学的には生後7日齢ではエナメルマトリックスの分泌が盛んに行われている時期であり、また基底膜の消失時期とも一致することからネフロネクチンがエナメル芽細胞の分化制御に何らかの影響を与えている可能性が示唆された。
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