2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03228
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉崎 恵悟 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | エナメル芽細胞 / ネフロネクチン / 分化制御 |
Research Abstract |
昨年度解析したネフロネクチンの歯胚発生過程における発現パターン、歯胚器官培養系における機能解析の結果をもとに、本年度は主にエナメル芽細胞分化制御の解明、基底膜分子として歯胚発生に与える影響について解析を行った。ネフロネクチンには二つの変異体が存在している。ネフロネクチンの歯原性上皮細胞における機能を詳細に検討するために、二つの全長cDNAのクローニングを行い、ネフロネクチン発現ベクターを作製した。それぞれを歯原性上皮細胞株に遺伝子導入を行ない、機能解析を行った。まず、分化に対する影響を検討するために、遺伝子導入後7日間培養を行い、総RNAを回収し、エナメル芽細胞の分化マーカーであるアメロブラスチンの発現をリアルタイムPCRにて解析した。遺伝子導入群は二つの変異体共にアメロブラスチンの発現が抑制されていた。また、細胞増殖能も検討したところ、両遺伝子導入群共に細胞増殖能の活性化が認められた。この結果は昨年度解析した歯胚器官培養系におけるsiRNAを用いた抑制系の実験との結果と一致しており、ネフロネクチンがエナメル芽細胞の分化制御に関与し、ネフロネクチンの発現がエナメル芽細胞を未分化な状態に維持している可能性が示唆された。また、これまで得られた知見よりネフロネクチンは歯胚発生時期の基底膜に存在し、細胞外マトリックス分子として機能している可能性が考えられる。そこでネフロネクチンリコンビナントタンパク質を作成し、培養ディッシュにコーティングを行い、機能解析を行った。歯原性上皮細胞株、歯原性間葉細胞株を用いて細胞接着能の検討を行ったところ、両細胞共に細胞接着能の増加が認められた.また、細胞増殖能も活性化された。以上から、ネフロネクチンは細胞外マトリックス分子としての機能を有しており、上皮細胞、間葉細胞両方に影響を及ぼしている可能性が考えられる。
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