2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨関節組織におけるGABABR1サブユニットの機能解析
Project/Area Number |
09J03309
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高畑 佳史 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 骨芽細胞 / GABAB受容体 / Osterix |
Research Abstract |
本年度は、GABAB受容体により、細胞成熟を調節される骨芽細胞において、骨芽細胞成熟の指標である骨芽細胞マーカーについて発現の定量を試みた。また転写因子の機能変動を解析することを目的とし、直接的なプロモーター領域への転写因子の結合能を解析した。さらに、それぞれのプロモーター領域をクローニングし、レポーターアッセイを用いてルシフェラーゼ活性を測定し、GABAB受容体と転写因子による発現調節機構との関連性を解析する。これらの解析から、骨芽細胞成熟因子とGABAB受容体を介するPKAシグナリングとの関連性について、遺伝子発現レベルからの解明を試みた。 その結果、骨芽細胞の成熟に必須であるBMP2、骨芽細胞の石灰化を強く促進する転写因子Osterixの発現が、GABAB受容体を刺激することにより有意に抑制された。また、GABAB受容体ノックアウトマウスから単離した骨芽細胞と野生型マウスから単離した骨芽細胞を数日間培養し、これらの因子を定量した結果、GABAB受容体ノックアウトマウスから単離した骨芽細胞ではBMP2とOsterixの発現は有意に上昇した。 これは、PKAシグナルにより発現が促進されるBMP2が、GABAB受容体のcAMP生成を抑制するPKAシグナルの抑制によって発現が抑制されたものだと思われる。このGABAによるシグナル伝達機構の機能的発現が示されることにより、骨のリモデリングまたは骨粗症や骨大理石症をはじめとする代謝性骨疾患発症に関与する新たな因子として、GABAが機能する可能性も考えられ非常に意義あるものである。 来年度は、骨芽細胞に発現が認められたGABABRと細胞成熟性の抑制との関連性をより詳細に検討するため、GABABR1サブユニット機能亢進を目指した遺伝子強制発現細胞の作成、あるいは機能抑制を目指した各サブユニットのRNAi実験を行う。
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Research Products
(4 results)