2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03335
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 寛貴 Hokkaido University, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進化発生学 / 昆虫生理学 / 幼若ホルモン / クワガタムシ / 表現型可塑性 / 大顎 / 分子発生学 |
Research Abstract |
1.大顎サイズ制御における幼若ホルモンの役割 クワガタのオスでは,体サイズ依存的に大顎のサイズが劇的に変化する.この大顎サイズ決定を担うメカニズムには内分泌因子による制御が予想された.昨年度,本研究員は内分泌因子の一つである幼若ホルモン(JH)に焦点を当て研究を行った. 大顎形成が行われる前蛹期のオスに,JH類似体を処理したところ,対照群に比べて有意に大顎サイズが増大した.さらに大顎サイズが異なる大型オスと小型オスの間で,前蛹期の体内JH濃度を測定したところ,大型オスでは小型オスより体内JH濃度が有意に高く,さらに体サイズと体内JH濃度には有意な正の相関が認められた.これらの結果より,JHはクワガタの大顎発達を促進し,その体内濃度がオスにおける大顎サイズの決定に関与していることが強く示唆された. 2.大顎サイズ制御に関する分子発生学的メカニズム 成虫の大顎発達は,前蛹期における大顎の上皮細胞増殖によりもたらされることが,本研究員の修士課程における研究から明らかになっている.このような急激な細胞増殖には,様々な細胞内シグナル経路が関わっていることが予想される.昨年度中頃より,本研究員は大顎発達の分子機構について,Candidate gene approachによる分子発生学的研究を行った.現在までに,材料種であるCyclommatus metalliferにおいて,16種類の候補遺伝子のホモログ配列を単離した.これらの遺伝子の前蛹期の大顎における発現動態を大型オス,小型オス,メスの3群間で比較した.大型オス,小型オスの間で,発現動態に大きな違いが見られる遺伝子は少なかったが,雌雄間で発現動態が異なる遺伝子は多かった.オスとメスでは大顎サイズが著しく異なるので,これらの遺伝子は大顎発達に関与している可能性がある.
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Research Products
(3 results)