2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03335
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
後藤 寛貴 北海道大学, 大学院・環境科学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進化発生学 / 分子発生学 / 幼若ホルモン / クワガタムシ / 表現型可塑性 / 大顎 / 性決定遺伝子 / 形態形成因子 |
Research Abstract |
1.大顎サイズ制御に関する分子発生学的メカニズム 成虫の大顎発達は,前蛹期における大顎の上皮細胞増殖によりもたらされることが,本研究員の修士課程における研究から明らかになっている.このような急激な細胞増殖には,様々な細胞内シグナル経路が関わっていることが予想される.昨年度中頃より,本研究員は大顎発達の分子機構について,Candidate gene approachによる分子発生学的研究を行った.現在までに,材料種であるCyclommatus metalliferにおいて,16種類の候補遺伝子のホモログ配列を単離した.これらの遺伝子の前蛹期の大顎における発現動態を大型オス,小型オス,メスの3群間で比較した.大型オス,小型オスの間で,発現動態に大きな違いが見られる遺伝子は少なかったが,雌雄間で発現動態が異なる遺伝子は多かった.オスとメスでは大顎サイズが著しく異なるので,これらの遺伝子は大顎発達に関与している可能性がある. 2.大顎サイズの性的二型制御する分子発生学的メカニズム 大顎サイズの性的二型をもたらす分子機構を探るため,昆虫類で広く保存されている性決定電子dsxについて,配列の単離・発現解析・機能解析を行った.機能解析の結果,dsxはクワガタの性特異的な大顎発達を制御する重要な制御因子であることが明らかになった. 3.大顎相体サイズに対する人為選択の試み クワガタの大顎サイズは体サイズに相関して大きく変化する.しかし,同じ体サイズであっても,個体ごとに大顎サイズには若干の個体差が見られる.この大顎の相対サイズを決定には,上記の2つの発生メカニズムが重要な役割を果たすと考えられる.より長い大顎を持つ系統と,より短い大顎を持つ系統を作成し,両系統間で内分泌機構・分子機構を比較することで大顎サイズ制御に発生進化学的を考察することが可能である.そこで,大顎の相対サイズに対して人為選択をかけ,選抜系統の作成に着手した.
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Research Products
(4 results)