2009 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを利用したガラス内部の三次元元素分布制御とそのメカニズムの解明
Project/Area Number |
09J03481
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 雅弘 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フェムト秒レーザー / 三次元 / 元素分布 / ガラス |
Research Abstract |
本研究の目的は、フェムト秒レーザーパルスをガラス内部に集光照射することで集光点近傍に局所的な元素分布を形成することにより透明材料を機能化させること、また元素分布形成メカニズムを解明することである。採用第一年度目は以下の成果を得た。まず、ガラスを構成する元素の組み合わせによって、レーザー照射後に形成する元素分布の違いを調べ、傾向を明らかにした。SiO2を含むすべてのガラス試料において、網目骨格を形成しているSi濃度がレーザー集光点近傍において高くなり、その領域でのほかの元素の濃度は低くなった。一方、Si以外の網目形成酸化物および網目修飾酸化物が照射点から離れた場所に分布する傾向が明らかになった。この結果は主に各カチオンの酸化物イオンとの結合強度に由来するパラメーターが元素の分布傾向を決定していることを示唆しており元素移動メカニズムを決定する重要な手がかりになると考えられる。次にフェムト秒レーザーパルスを、対物レンズによってガラス内部に集光照射した際にどのような温度分布が生じるかを解析した。高温下にあるガラスにレーザー照射し、照射前のガラスの温度と照射後に形成される構造変化の大きさの関係を調べ、この関係を熱拡散モデルに基づく式によってフィッティングすることによってレーザー照射中の温度分布の時間変化を求めた。元素移動領域では急峻な温度勾配が発生していることが明らかになり、現在温度勾配と元素分布形成の関係について考察を進めている。元素移動現象の応用についても成果を得た。ガラスの組成はガラスのあらゆる物性を支配するパラメーターである。今回、ガラスの屈折率と分相現象に着目し、ガラス内部で元素分布を制御することにより、ガラス内部に光導波路を形成すること、分相を局所的に誘起することに成功した。これらは、元素移動による透明材料の機能化の可能性を示す十分な成果であると考えられる。
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Research Products
(3 results)