2011 Fiscal Year Annual Research Report
地殻・マントル内短波長不均質構造と高周波地震動の伝播特性に関する研究
Project/Area Number |
09J03509
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武村 俊介 東京大学, 大学院・情報学環・学際情報学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 地震波動伝播 / 地殻・マントル / 表層地形 / 地震波散乱 / 数値シミュレーション / 信号解析 / 高周波数地震動 |
Research Abstract |
本研究では、地震の被害に大きな影響を与える1Hz以上の高周波数地震動の伝播特性の解明とそれらを正しく再現できる広帯域地下構造モデルの構築を目指し、日本国内で発生した地震を用いた多面的な波形解析(3成分振幅比、最大振幅、Coda励起量など)と解析結果を定量的に再現できるような地震動シミュレーションを行う。 これまでは、地殻・マントル中に含まれる小さなスケールの伝播速度のゆらぎ(以下、速度ゆらぎ)の地域性や深さ分布を推定するために、観測波形の解析と数値シミュレーションによるモデル構築を行ってきた。高周波数地震動の記録解析と数値シミュレーションの比較を通して、速度ゆらぎだけでなく複雑な表層地形を適切にモデル化することが必要不可欠であることが明らかとなった。 そのため、今年度は複雑な表層地形を含んだ地震動シミュレーションを行い、それらの結果を定量的に評価することで、地形による散乱と伝播経路中の速度揺らぎによる散乱の効果の分離を試みた。その結果、これまでの速度ゆらぎによる地震波散乱の場合は伝播に伴いその効果が蓄積していったのに対して、地形による地震波散乱の効果は観測点近傍の表層地形の影響のみに依存しており、距離によって蓄積しないことが明らかとなった。また、自然地震の高周波数地震動のモデル化には速度ゆらぎのみを考慮していたが、表層地形の導入により直達波であれば数十%、Coda波であれば10倍以上、地震波散乱が強まることが明らかとなった。 低周波数地震動のモデル化に用いられる大規模な層構造モデルに加えて、表層地形や本研究で推定された速度ゆらぎを加えた地下構造モデルを用いて、広帯域地震動シミュレーションを行った。得られたシミュレーション結果と観測記録の直接比較より、モデルや計算手法の精度検証を行った。その結果、地形と速度ゆらぎの導入により、従来は再現することが出来なかった3Hz程度までの高周波数地震動の特徴(波形の包絡線形状、最大振幅分布)を再現することに成功した。 上記以外に、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震について、強震動と長周期地震動の生成について解析を行い、得られた知見をまとめた論文の発表に携わった。
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