2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミントランスポーター発現制御因子の解析とその行動への影響
Project/Area Number |
09J03578
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 康太 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ドーパミントランスポーター / 転写因子 / HESRファミリー / 非翻訳領域繰り返した型(VNTR) / ルシフェラーゼアッセイ / 中脳黒質 / 中脳腹側被蓋野 |
Research Abstract |
ヒトドーパミントランスポーター(DAT)遺伝子の非翻訳領域に存在する繰り返し多型(VNTR)にはその繰り返し数が6、7、9、10、11回のリピートのものが存在し、この多型と様々な疾患感受性の個人差の相関研究が行われている。我々はこの多型が疾患に影響するメカニズムの研究をしている。 この各リピートを持つルシフェラーゼレポーターに対し各HESRをヒト神経芽細胞のSH-SY5Yにおいて共発現させたときに、各リピートに対しどのような効果があるかを検討した。その結果、HESRを共発現させていない場合は各リピート間でルシフェラーゼ活性に違いが見られ、HESR1を共発現させると特に10リピートが強く抑制され、HBSR2は各リピート間でのルシフェラーゼ活性の違いを少なくする傾向があるということが分かった。HESR3は特に効果を示さなかった。 よってDATのVNTRはDAT発現に影響を与え、またHESRファミリーに調節を受ける可能性が示唆された。 また、ドーパミンニューロンは中脳の黒質(SN)や腹側被蓋野(VTA)が主な起始点であるが、Hesrファミリーは中脳のどの部位で発現しているのかをマウス脳を用いた免疫組織化学で検証した。その結果Hesr1と2は細胞内では主に核に存在するが、意外なことにHesr3は転写因子であるが細胞質に存在するということが分かった。脳の部位としては全てのHesrがSNとVTA両方で発現していることが分かった。 以上の結果からHESRファミリーは脳のドーパミンニューロンに実際発現しており、ドーパミントランスポーターの量を、VNTRを介して調節している可能性が示唆された。 この結果を現在、論文にして投稿中である。
|