2010 Fiscal Year Annual Research Report
ドーパミントランスポーター発現制御因子の解析とその行動への影響
Project/Area Number |
09J03578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 康太 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ドーパミントランスポーター / HESRファミリー遺伝子 / 行動解析 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
私はヒトの精神や性格など個人差に関わる遺伝子に着目し、精神疾患や気分障害、ADHDなどの発達障害との相関研究が多数報告されているドーパミントランスポーター(DAT)遺伝子多型の機能解析を行ってきた。この多型は、DAT遺伝子の非翻訳領域に存在し約40塩基のDNA領域が繰り返すもの(VNTRと呼ばれる)で、その繰り返し数に個人差ある。当研究室ではこの領域に結合するDAT発現制御因子としてHESR1というタンパクを同定したが、私は、HESRの更なる機能解析に加え、ファミリー遺伝子であるHESR2,3の機能解析も行ってきた。その結果、昨年度までに、HESRと2がDAT発現を抑制する可能性をin vitroの系で示し、また、これら遺伝子はタンパクレベルで確かに脳(マウス)発現していることを示した。このように、in vitro、in vivo両方の側面から機能解析を行いその成果を論文として報告た。 さらに、Hesr1および2の遺伝子欠損マウスを用いての行動解析も開始し、ほぼデータを取り終えている。これらのマウスでは欠損していないマウスにくらべ、驚愕反応の抑制、新規環境での活動性の変化などが確認された。 近年、Hesr1とアンドロゲン受容体が共役因子であるとの報告があることを受け、DATにもなんらかの影響があるのではないかと考えて、アンドロゲンとHesr、そしてDATの関係の解析を開始した。予備実験からマウス去勢処置によってHesr1および2の発現が著しく増加することを示す予備データが得られている。上記の通り、DAT発現を確かめる系が立ち上がっているため、今後はその時のDAT発現の変化を検証していく。また、そのための実験のサンプリングは終了している。
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