2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03753
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
小野 久弥 Gifu University, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 黄色ブドウ球菌 / エンテロトキシン / 嘔吐型食中毒 / スンクス |
Research Abstract |
本研究は新型ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)の生物活性を分子レベルで明らにするためまず古典的なSEであるSEAの嘔吐活性発現機序を解明することを目的としている。 嘔吐モデル動物であるジャコウネズミを用いた研究によりSEAのin vivoにおける動態を観察した結果、SEAはまず胃および小腸の上皮細胞に付着した後、30-90分という短時間で粘膜下組織へと移行し結合組織型肥満細胞へと集積することを明らかにした。 さらに免疫組織化学およびトルイジンブルー染色により、粘膜下組織に存在する肥満細胞がSEA投与により脱顆粒を起こすことが示唆された。以上のことからSEsの嘔吐における標的細胞は肥満細胞であることを明らかにし、また肥満細胞の脱顆粒がSEsの嘔吐に関与している可能性が示された。 SEAが消化管の粘膜上皮を通過することが明らかになったため培養細胞を用いた上皮バリアモデルを用いてSEsの上皮透過実験を行ったが、実験に用いた培養細胞系では上記したin vivoにおける短時間でのSEsの移行は再現できずぐ現在より適切なモデルの構築を試みている。 SEsの標的タンパク質については現在肥満細胞系培養細胞株を用い、タンパク質間相互作用を利用してクローニングを試みている。 以上の実験結果の通り、本研究はSEAによる嘔吐発現の分子機構の解析が進み分子レベルでのブドウ球菌食中毒の防除と制御を進める端緒となり得るため、病原細菌学および食品衛生学的に高い価値を有する。また免疫学および細胞生物学に関して新たな知見が得られる可能性があり、非常に興味深く至急解明する必要がある。
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