2009 Fiscal Year Annual Research Report
低線量放射線照射による制御性T細胞の誘導と免疫疾患への応用
Project/Area Number |
09J03780
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中司 寛子 Tokyo University of Science, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 低線量放射線 / 制御性T細胞 / 免疫疾患 |
Research Abstract |
本研究は、低線量放射線照射による自己免疫疾患の病態改善機序を明らかにし、低線量放射線の免疫疾患への可能性を提示することを目的としている。これまでに、低線量放射線照射による各種自己免疫疾患モデルマウスの病態抑制効果を報告し、その病態抑制に制御性T細胞(Treg)誘導が寄与することを提唱してきた。平成21年度は、関節リウマチモデルマウス(CIA)における低線量放射線照射による制御性T細胞誘導機構の解明を目的とした研究を実施した。 低線量放射線によるTreg/Th17細胞割合変化の影響を検討したところ、CIAモデルにおいて、低線量放射線照射によりTreg割合が増加し、Th17細胞割合は変化しないことが明らかとなった。次に、Treg、Th17細胞分化に関与するサイトカインの測定を行った。Treg分化を抑制しTh17分化を促進させるIL-6、およびTh17細胞から産生されるIL-17の産生量を測定したところ、いずれも低線量放射線照射により抑制された。また、その産生抑制は病態発症直前、および病態形成期に顕著にみられることがわかった。以上の結果より、低線量放射線によるCIAの病態改善にはTregの割合増加が重要であることが示唆され、低線量放射線によりTregが誘導される可能性が示唆された。次に、Treg分化過程における低線量放射線の影響を検討するため、Treg/Th17細胞分化系の確立を試みたところ、Treg分化系の確立に成功した。来年度はこの方法で分化させたTregの放射線感受性を測定、および低線量放射線照射による皮膚移植拒絶反応の抑制効果を検討する予定である。 現在、自己免疫疾患の根本的治療法は未だ確立されていないため、本研究は低線量放射線の作用メカニズムおよび有用性を解明することにより自己免疫疾患の予防・治療における医療の発展に大いに貢献し得る大変意義深いものと思われる。
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Research Products
(1 results)