2010 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症6型(SCA6)の発症機序の解明及び治療法の開発
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09J03855
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
海野 敏紀 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | カルシウムチャネル / 脊髄小脳変性症 / ポリグルタミン病 / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
1 SCA6ノックイン(KI)マウス・コントロールKIマウスの特微決定 ヘテロマウス(SCA6-MPI-118Q/+)では生後30週齢から(ホモマウスSCA6-MPI-118Q/118Qでは生後6週齢から)、徐々にプルキンエ細胞が脱落しはじめ、伸長ポリグルタミン鎖を有するCa_v2.1チャネル(EXP-Ca_v2.1)封入体もプルキンエ細胞に形成される。生後100週齢ではプルキンエ細胞が50%程度に減少し、協調運動障害も観察された。SCA6-MPI-118Q KIマウスのコントロールとして作成した、SCA6-MPI-11Qマウスによる解析では、生後100週齢を過ぎても、行動異常・病理学的変化は観察されなかった。以上から、SCA6-MPI--11Q KIマウスのプルキンエ細胞死は、KIマウス作成による変化ではなく、変異カルシウムチャネルの発現によるものであることが確認された。 2 SCA6 KIマウスと、カテプシンBノックアウトマウスの二重変異マウスの作成 これまでの研究結果から、小脳プルキンエ細胞体に観察される変異カルシウムチャネル封入体は、主にリソゾームマーカーと共局在することを明らかにしてきた。そこで、SCA6病態におけるリソゾーム酵素の役割を解明するため、小脳での主要リソゾーム酵素の一つであるcathepsin Bを欠損するCtsbノックアウトマウスとSCA6-MPI-118Q KIマウスの二重変異マウスを作成した。 3 二重変異マウスの行動学的、病理学的、生化学解析 MPI-118Q/118Q; Ctsb^<-/->マウスはMPI-118Q/118Q; Ctseb^<+/+>マウスと比較して、早期より協調運動障害を発症し、病理学的にも若齢よりプルキンエ細胞脱落・封入体の形成が認められた。以上の結果から、SCA6-MPI-118Q KIマウスにおいてcathepsin Bの欠損は病態発症を加速した。cathepsin BはEXP-Ca_v2.1の分解等の代謝過程に関与している可能性があることが示唆された。
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