2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03885
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
池野 知子 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光周性 / 概日時計 / 概日時計遺伝子 / クチクラ形成リズム / ホソヘリカメムシ / RNA干渉法 |
Research Abstract |
1、ホソヘリカメムシから概日時計遺伝子period(per), cycle(cyc), vrille(vri),哺乳類型cryptochrome(cry-m)を単離し、塩基配列を決定した。次にRNA干渉法によってそれぞれの遺伝子発現を抑制したところ、概日リズムであるクチクラ形成リズム(偏光顕微鏡下で明暗にみえる2種類のクチクラ層が交互に形成されるリズム)がみられなくなった。また、per, vri, cry-mのRNA干渉では単一の暗層のみが、cycのRNA干渉では単一の明層のみが形成されていた。以上から、これら遺伝子は本種のクチクラ形成リズムを制御する概日時計に重要であり、per, vri, cry-mのRNA干渉とcycのRNA干渉では逆の位相で概日時計が停止してしまうと考えられる。本研究により、実際にcry-mが個体レベルでの概日リズムの制御に関与していることが昆虫で初めて示された。 2、ホソヘリカメムシは長日では卵巣を発達させ生殖を行い、短日では卵巣発達を抑制し休眠するという明瞭な光周性を持つ。この光周性に概日時計遺伝子が関与するかを調べるため、per, cycのRNA干渉を行って様々な光周期条件で飼育したところ、perのRNA干渉では短日でも卵巣発達が誘導され、cycのRNA干渉では長日でも卵巣発達が抑制され休眠が誘導された。このことから、本種の光周性にはper, cycから構成される概日時計が関わっていることが明らかとなった。また、perとcycのRNA干渉によって逆の位相で概日時計が停止してしまうことで、光周性においても生殖と休眠という逆の表現型が現れたと考えられる。
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