2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J03885
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
池野 知子 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 光周性 / オプシン / ホソヘリカメムシ / RNA干渉 / 概日時計 / 概日リズム |
Research Abstract |
1.ホソヘリカメムシの光周性の光入力にオプシンが関与しているのかを調べるため、本種から長波長感受型オプシン(Lop)と紫外感受型オプシン(Uvop)の2種類のオプシンを単離し、塩基配列を決定した。ノーザンハイブリダイゼーション法を用いてメス成虫の頭部と頭部以外の部位でのそれぞれの遺伝子の発現量を比較したところ、どちらの遺伝子も頭部でのみ発現していた。次にそれどれの遺伝子のRNA干渉を行って光周性に与える影響を調べたが、どちらの遺伝子のRNA干渉個体も長日では卵巣が発達、短日では休眠に入っており、正常な光周反応がみられた。以上から、本種の光周性にはこれらオプシンは関与していない可能性が考えられるが、今後は注射をおこなう二本鎖RNA量や飼育時の光強度などといった条件を見直し、再検討する必要がある。 2.ホソヘリカメムシでは、エサである大豆上に滞在する行動に周期性がみられる。そこでこの行動が概日時計によって制御されているのかを調べるため、CCDカメラを用いて明暗周期、恒暗周期条件下での行動を詳細に観察した。明暗条件下では、60%の個体で明期後半に豆上に移動し、暗期に入ると豆上からいなくなるという、明暗に同調したリズムが見られた。しかし24%の個体では明暗条件であるにもかかわらず、リズムが自由継続しており、16%の個体では周期性はみられなかった。次に恒暗条件では、67%の個体でリズムがみられ、その平均継続周期は24.0時間だった。以上の結果から、本種が豆上に滞在するリズムは概日リズムである可能性が考えられる。しかし、このリズムは明暗周期に同調するが、その岡調能力はあまり高くないと考えられる。
|