2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J04077
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴崎 裕樹 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 水素 / 鉄 / 金属水素化物 / 高圧 / 核 / 惑星 |
Research Abstract |
(1)高圧下での鉄-ニッケル-水素合金の融点研究 地球内部の温度構造は未だ正確に決定されておらず、解明すべき最優先事項の一つである。そこで、地球内部の温度構造を明らかにすべく、SPring-8にて川井型マルチアンビル高温高圧発生装置を用いて高温高圧その場観察実験を行い、地球核を構成しうる鉄10at%ニッケル-水素系の融点を、13.5GPaまでの圧力条件で明らかにした。これによると、鉄の融点と比べて約400K融点が低くなり、鉄-水素系の融点と比べて約100K融点が高い結果が得られた。これは、鉄中にニッケルが10at%入ることで純鉄とは異なる融点になることを示しており、実際の核条件(135GPa以上)ではさらに融点の差が大きくなると予想されることから、温度構造を知る上で非常に重要な結果である。 今後、より高圧力を発生することが可能なダイヤモンドアンビルセルを用いて、地球核の圧力条件(135GPa以上)における鉄10at%ニッケル-水素系の融点を明らかにしていく。これによって地球内部の温度構造に大きな制限を与えることが期待される。 (2)高圧下での鉄-硫黄-水素合金の融点研究 木星の衛星であるガニメデの核は、人工衛星の観測や隕石観察などから、主に鉄-硫黄-水素系の合金である可能性が考えられる。そこでガニメデ核の構造を解明すべく、西播磨のSPring-8に設置されている川井型マルチアンビル高温高圧発生装置を用いて高温高圧その場観察実験を行い、16.5GPaまでの鉄-硫黄-水素系の融点を明らかにした。これによると、高圧下では硫化鉄中に水素が約15at%固溶し、融点が約150-250K低下することが明らかになった。以上のことからガニメデの核は現在、全溶融しているかもしくは液体成分と水素化硫化鉄(FeSH0.2)で構成された固体成分を持ちうることが明らかになった。より実際のガニメデの核組成に近い系で実験を行ったことで、既存のガニメデの核モデルにより強い制限を加える結果となり、核の状態を解明する上で非常に重要な結果である。
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Research Products
(4 results)